4歳のクラス、うめぐみの11月のとしょかんで楽しんだ一冊です。
「ことばあそびうた また」
谷川 俊太郎 詩 / 瀬川 康男 絵
1973年10月01日初版 福音館書店刊
3才の時からことばが大好きなうめさん。
いよいよ「ことばあそびうた また」を楽しんでいる様子です。
” どれがよみたい? ” って聞いたら
すぐに ” かなかな ” って返ってきました。
そこで早速よんでみました。
せみの大好きな方もたくさんいて、きっとかなかなを想像しながら楽しんだことでしょう。
この園の子どもたちの生活は、絵本なくしては始まりません。
朝、みんなが集まれば絵本。帰りのさようならの前に絵本。
そして、週に1回、クラスごとに入る図書館では、
図書館の専任が、その季節や、クラスの子どもたちに合わせて、
今、出会わせたい絵本を選んで、子どもたちに読んでいます。
1日に2冊以上、1週間で10冊以上、1か月で平均50冊、1年にしたら、何百冊・・・
卒業までの3年だと・・・。
もちろん、読んだ本の数ではありません。
ただ、子どもたちは、幼稚園の3年間の生活の中で、
こんなにもたくさんの絵本に出会っているのです。
その、毎日の積み重ねの大きさを感じて頂ければ。
このブログでは、そんな日々の子どもたちと絵本との関わり、 様子、楽しんでいる絵本など、ご紹介していきます。
2022年01月04日
子どものとしょかんから
〜二学期を終えて〜
「うみのがくたい」で開けた二学期。ふねのひと、くじら、いるか、さめ、ちいさな魚たちは、うみとなった幼稚園中を泳ぎ回りたのしい日々でした。
秋から冬へと季節が移ろう中、子どもたちは美味しいことばを求めて、子どものとしょかんへ足を運んでくれました。
今学期、各クラスで楽しんだ何冊かをご紹介します。まずは3歳のクラス、つきぐみさんの12月のとしょかんでよんだ一冊です。
ぼくごりら
小風さち ぶん
阿部知暁 え
(ちいさなかがくのとも 2005年1月)より
「ぼくごりら ごりらのこ」
「これはぼくのかあさん。ぼくのかあさんもゴリラ」
この絵本を持っただけで大歓声のつきさん、読み始めるともう笑いが止まりません。
大きな大きなかあさんに抱っこされ、おっぱいのんで、おしっこして、おんぶして、幸せいっぱいのごりらのこ。
かあさんはこどもに背を向けて食事中・・・。
” ぼくのこと みてみて ” といたずらいっぱいのごりらのこ、気をひこうと必死です。
でもかあさんはちゃぁーんと見ています。
” ひゃーっ かあさんにつかまった! ”
愛情いっぱいにすくすく育ちます。
午前中めいっぱいクリスマスの準備にあけくれてた午後のとしょかんのつきぐみさん。
集中力はどこへやら・・・で入ってきたこの日、
でも何と!!この絵本はどんな状況でも全員が楽しめてしまう魅力的な絵本です。
同じ作者からの続編「とうさんごりら」「ぼくはごりら」があります。とても楽しいです。
2021年08月30日
最後に5歳のクラスうみぐみさんの5月のとしょかんでよんだ一冊
ロバのシルベスターとまほうのこいし
ウィリアム・スタイグ 作
せた ていじ やく
1975年10月初版 評論社刊
ロバの子、シルベスターのたのしみは、変わった形や色の小石を集めることでした。
夏休みの雨の日、燃えるように赤く、ビー玉のようにまんまるい小石をみつけたシルベスターはその石がまほうの石だと気がつき、喜びいさんで家へ帰る途中のいちご山で何と!!ライオンに出くわし、肝をつぶしたシルベスターは思わず、” ぼくはいわになりたい ” と言って岩になってしまいました。
息子の帰りを待つ両親はあらゆる手であちこち探しまくるのですが、見つけることが出来ません。
時は移り、春のある日、ダンカンさん夫婦がピクニックに来たのが偶然にもシルベスターが岩となって眠るいちご山でした。
そして母さんが腰を下ろした岩がまさにシルベスターの岩だったのです。
” 母さん “・・と気がついたシルベスターでしたが叫ぶことが出来ません。
ところが偶然父さんが赤い小石をみつけ岩の上に置くや、ダンカンさん夫婦が ” ここにシルベスターがいてくれたら・・・” と願いシルベスターが ” ああ、もとのぼくになりたい ” という願いが見事成就し、そうなったのです。
再会の歓びに涙を流し、かあさんと抱き合うシルベスターと嬉しくて小躍りするとうさんの姿をみれば、親子の絆、愛の深さ等しみじみ感じさせられます。
2回に分けて入ったとしょかんの一冊でしたが、2回とも真剣な表情で聴き入っていたうみさんは終わった途端に何人もの方が ” おもしろかった ” と言い残してくれました。
松居直先生は著書の中で、「人間ーロバもですーの思いや願いが愛によって生きかえり、成就するものだということ、信じ、望み、愛することを忘れがちなわたしたちにスタイグはロバのダンカン親子の心の交流を通してもう一度考えなおしてごらんと語っているようです。
あなたの中にあるその力を・・・と語りかけているようです。・・・と伝えてくださってます。
2021年08月30日
5歳のクラス、うみぐみさんのとしょかんでよんだ一冊です。
もうどうけんドリーナ
土田ヒロミ さく 日紫喜均三 監修
なかのまさたか A・D
かがくのとも166号福音館書店刊 1983年
” もうどうけんしってる? ” と聞くと
” しってるしってる ”
” めのみえないひとをたすける犬でしょ ”
” おしごとしてるのみたことある? ”
” ないよ ”
の声が圧倒的でした。
ドリーナは盲導犬訓練所で産れた7ひきの子犬の一匹でよしお君の家で家族の一員として普通の犬のように可愛がられ、楽しく10ヶ月を過ごした後、いよいよ訓練所に戻されます。
そして盲導犬に向いてるかどうかのテストを受けます。
” ズドーン ” 大きな音をこわがったり、”コト”小さな音を聞き逃さないか、他の犬の挑発にのらないか等のテストはどれも合格、4ヶ月の訓練を終えたドリーナは一人の女の人と対面します。
” ましまさん あなたのいぬですよ。ドリーナとよんでください。 ”
初対面のドリーナはましまさんに前足をかけ、しっぽをふっています。
” ドリーナ!ドリーナ、わたしはましまりえこ。めがみえないの、よろしくね ”
この対面の場面はいつ読んでも「じーん」ときます。
うみさんはドリーナが訓練所でいくつものテストを受けたり、訓練される様子をみて ” すべてごうかく ” と聞いてほっとしたり、ましまさんといっしょになってからどこへいくときも、寄り添って働く姿を心に焼き付けているようでした。
作者土田さんは、” 間島さんのドリーナによせる限りない愛情があってはじめてドリーナはそれにこたえたい、さらにこたえていくことが喜びまでに変っていくという関係に発展していくのです。愛してくれる人間につかえることを喜びとしてとらえることができる利口さを盲導犬は持っています。盲導犬は道具としての白杖ではありません。深い信頼関係に裏うちされた人生の伴走者なのです。 ” と語られています。
2021年08月30日
次は7月に入って大雨の日に3歳のクラスつきぐみさんとよんだ一冊です。
コッコさんとあめふり
片山健 さく・え
1991年9月年少版こどものとも
福音館書店刊
まいにち、まいにち、あめふりです。
コッコさんはてるてるぼうずをつくり ” てるてるぼうず、てるてるぼうず、あしたてんきにしてください ” と洗濯ひもにつるしました。
次の日・・・やっぱり雨降りでした。
コッコさんはてるてるぼうずの中に宝物をいっぱい入れふとったてるてるぼうずをつくりました。
・・・でも晴れてくれません。
コッコさんはてるてるぼうずがつかれているんだ・・・とふとんをしいて休ませました。
てるてるぼうず てるてるぼうず あしたはきっとてんきになるよ。・・・
きっときっとてんきになるよ、ね!・・・と開くと、何と!
キラキラの太陽に輝く見開きいっぱいに描かれた野原一面に咲く花々、そして舞う蝶に小鳥。
子どもたちの顔がぱあーーーっと輝いた一瞬でした。
2021年08月30日
4歳のクラス、うめぐみさんの6月の図書館でよんだ一冊です。
いしゃがよい
さくらせかい さく
2010年1月1日こどものとも年少版より
福音館書店刊
ある日 山でエンさんは大声でなくパンダをみつけ ” ファンファン ” と名付けて育てます。
からだの弱いファンファンをエンさんは自転車に乗せ、ひとやまもふたやまもこえていしゃがよい。
帰りはエンさん歌を唄います。
「このこだれのこパンダのこ やまのふもとでないてたこ エンファンエンファン ペダルこぎこぎかえります」
雨の日も、雪の日も・・・。
月日は流れ、おじいさんになったエンさんをファンファンが自転車にのせていしゃがよいです。
エンさんは嬉しくて涙が流れます。
二人はなかよくくらしたよ。
絵をみながら言葉を聞いていたうめさんの楽しむこと、楽しむこと・・・赤ちゃんだったファンファンがどんどん大きくなってエンさんをはるかに超える絵を見た瞬間爆笑でした。
いつもこの本を手にすると胸があつくなり、涙が出ます。絵といい、文章といい、何と味わいのあることでしょう。一度出会ってみて下さい。
2021年08月30日
1学期を終えて
コロナ禍の中で始った一学期ではありましたが、みんなでつくって思いっきり楽しんだこどもの日、外庭で毎日、どろんこ遊びに鬼ごっこ、虫探しにかくれんぼ、ブランコ、鉄棒、ジャングルジム…お部屋では積木にお絵描き、おままごと等々、ひとりひとり思いっきり楽しんだ一学期でした。
さて一学期、どのクラスも子どもの図書館でたくさん絵本を楽しみました。その中の何冊かをご紹介致します。まずつきぐみさんのとしょかんから・・・。
かぜのこもりうた
くどうなおこ詩 あべ弘士絵
1994年9月9日初版 童話屋
ぞうのぼうや げんき あっちこっち とっとこ とおくへいっちゃだめよ とかあさんがいったけど しらんかおでとっとこ
リズミカルなことばを聞きながら、草原を思いっきりかけるぞうのぼうやを目で追うつきさん。
ぞうのぼうやがまいごになって ” さびしいよ ” ” こわいよ ” とないてうろうろするととても心配そう。
でもぞうのぼうやはかぜのこもりうたを聞いてねむり、朝はわらってはなを高くあげるのです。そしてかあさんのにおいに向ってとっとことっとこ・・・。
まっしぐらのとっとこ。安堵感いっぱいに終る詩の絵本です。あべ弘士さんの絵がとても温かく心に残ります。
2021年08月19日
次は7月の4歳のクラス うめぐみさんのとしょかんの一冊です。
おっきょちゃんとかっぱ
長谷川摂子 文 降矢奈々 絵
1994年9月1日こどものとも 福音館書店刊
小さな女の子、おっきょちゃんが川で遊んでいると川の中からかっぱの子ガータロが出てきてまつりに誘う。
おっきょちゃんはきものに着替え、きゅうりを土産にガータロに連れられ水底の世界へと入り、まつりを楽しんでいると、大人のカッパたちに ” にんげんのこだ ” と囲まれてしまうが土産のきゅうりのおかげでたちまち客人となる。
おっきょちゃんはまつりの餅をひと口食べたら、お父さんのことをわすれ、ふた口食べたらおかあさんのことをわすれ、みくち食べたら水の外のことを全部忘れ、ガータロの家の子になって遊んだ。
あるひのこと、おっきょちゃんが手にした布人形はかあさんが作ってくれた人形だった。記憶を甦らせたおっきょちゃんは ” かあさんところへかえりたい ” といって初めて泣いた。
ちえのすいこさまとガータロの知恵をかり、無事おっきょちゃんは人間の世界へと戻ります。うめさんはかっぱという現実にはまだ会ったことがない生きものや水底のまつりなど、どんどん異世界へと連れ込まれ、おっきょちゃんがもちをひとくち食べるごとにお父さんのこと、お母さんのこと、水の外の世界のこと、全部忘れていく語りにはさすがに深刻な表情となり、おっきょちゃんの行末を心から心配している様子が伝わってきました。
それにしても異次元の世界へとさっと誘ってくれ、又、現実へと戻してくれる、その過程の面白さと見事さにいつも感心させられます。作者長谷川摂子さん(この世にはいらっしゃいませんが)と画家の降矢奈々さんにこんなに素晴らしい作品を創ってくださったことに感謝です。
2021年08月19日
次は3歳のクラス、つきぐみさんの6月のとしょかんでの一冊。
はけたよはけたよ
かんざわとしこ ぶん にしまきかやこ え
1971年偕成社刊
ひとりでパンツがはけないたつくん。かたあしあげて・・・ どでん。
「えい、パンツなんかはかないや」とおしり丸出しで出かけると動物たちにしっぽを自慢されたり、さぎの真似で片足で立ってみたけど尻もちついておしりは泥だらけ。
おしりを洗ってもらった後、又、パンツに再挑戦です。
「しりもちついたままはけないかな・・・」あららはけちゃった。スボンもはけたたっくんはどうぶつたちに自慢しに行きます。
つきさんはこの絵本を手にした時からたっくんに身近さを感じたようで、ひとりでパンツをはいたり、ズボンをはいたりの挑戦はつきさんにとっての日常そのものです。
とてもとても楽しんだ一冊でした。
2021年08月13日
7月の5歳のクラスうみさんと4歳のクラスうめさん それぞれのとしょかんでよんだ一冊
こねこをだいたことある?
長谷川摂子 ぶん 降矢洋子 え
かがくのとの190号 1985年1月 福音館書店刊
ページを開き、こねこをだいたことある?と読むと・・・ あちらからもこちらからも
” ある!おばあちゃんちで・・・。”
” ない!ない! ”
圧倒的にない!!が返ってきました。
ぽあーっとあったかいな ふにゃくにゃ どきどき いきてるな
ゆきのふるおとをきいたことある?
いんいんいん つうーん ふわーん あんあんあん
子どもと暮す中での感覚の歓びやおののきや新鮮さを言葉でつづり降矢洋子さんの版画で描かれた絵本です。
・・・したことある?で始るので、ない!ある!と自分の感性を奮い立たせて賑やかに答えてくれるのです。
いっしょに読んでいると場面、場面でこちらも同じように味わった感覚が蘇り何とも豊潤な世界を味わうのです。
一番大きな反応があったのは・・・
せんこうはなびのおときいたことある?
みりみり みみみみ しゃっしゃっしゃっ
しゃばしゃば しゃ あっおしまい
子どもたちから ”あるある だってせんこうはなび やったもん ” と返ってきました。一度出会って欲しい絵本です。