常盤平幼稚園

今日の一冊

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子どもたちと絵本

この園の子どもたちの生活は、絵本なくしては始まりません。
朝、みんなが集まれば絵本。帰りのさようならの前に絵本。
そして、週に1回、クラスごとに入る図書館では、 図書館の専任が、その季節や、クラスの子どもたちに合わせて、 今、出会わせたい絵本を選んで、子どもたちに読んでいます。

1日に2冊以上、1週間で10冊以上、1か月で平均50冊、1年にしたら、何百冊・・・
卒業までの3年だと・・・。
もちろん、読んだ本の数ではありません。
ただ、子どもたちは、幼稚園の3年間の生活の中で、 こんなにもたくさんの絵本に出会っているのです。
その、毎日の積み重ねの大きさを感じて頂ければ。

このブログでは、そんな日々の子どもたちと絵本との関わり、 様子、楽しんでいる絵本など、ご紹介していきます。

はじめてのおつかい

2023年03月31日

次は4歳のクラスうめぐみさんの3学期最初のとしょかんの一冊です。

はじめてのおつかい

hajimetenootsukai
筒井頼子さく 林明子え
1976年3月 福音館書店刊

ページを開くと・・・
うめぐみさんの目にとびこんできたのは・・・てんやわんやの台所・・・。
ベッドで赤ちゃんは泣いているし、やかんも鍋も沸騰状態、買物袋も掃除機も・・・

お絵書きしていたみいちゃんにおかあさんはあかちゃんのぎゅうにゅうのおつかいをたのみます。
「ひとりでかってこられる?」「うん!みいちゃん、もういつつだもん」と答え、くるまにきをつけることと、おつりをわすれないことを約束して出かけます。

5才になっている方がほとんどのうめぐみさんにとってみいちゃんはとても身近な存在。

よみすすむなか、みいちゃんが転んでお金を探したり、お店には誰もいなかったり、黒めがねのおじさんやふとったおばさんの登場に押しつぶされそうな不安感をいっしょに味わい、やっと牛乳を手に入れたみいちゃんを坂の下で待っていてくれてたお母さんに会った安堵感等、全て共有し、最後裏表紙では家に帰ってお母さんにころんだ時の傷の手当てをしてもらったみいちゃんと赤ちゃんが牛乳をのむ幸せいっぱいの姿が描かれていて、うめぐみさんは大満足で終りました。

この絵本は我が家の末娘がうみぐみの時、持ち帰ってきた月刊絵本で何度も一緒に楽しんだ思い出が甦ります。
林明子さんの隠し絵がたくさんありますのでご家庭でも楽しんでみて下さい。

だぶだぶ

2023年03月30日

次は、2月「こどものむら」づくりの真っ最中の3歳のクラス、つきぐみさんのとしょかんの一冊。

だぶだぶ

dabudabu

なかのひろたか さく・え
福音館書店刊
1970年5月 こどものとも刊
1998年3月 こどものともコレクション第一刷

あそびにいこうとするけんぼうにおかあさんがもってきたのは、だぶだぶのぼうしとうわぎ・・・
「いやだ、いやだ、にいさんのおさがり・・・」
と抵抗しますが・・・そのまま出かけます。
途中、しょんぼりねこといぬに出会うとだぶだぶぽけっとに入れ、とんできたはとをだぶだぶぼうしに入れてもりをたんけんしていると・・・
もりにはおおかみがいて、けんぼうに近づいたその時、
「ばた、ばた、ばた・・・」とぼうしからとびだしたはとに、おおかみびっくりひっくりかえり、ぽけっとのねこは、はなをひっかくやら、いぬは吠えまくった。
おかげで難をのがれ、木に登って隠れた丁度その時、追ってきたおおかみの真上に「うわーっ」「どすん」「ぎゃーおお」みんなおっこちてしまいました。
おおかみはどこかにきえ、みんなでうちへかえりました。

つきぐみさんはだぶだぶのけんぼうが、次々出会うねこやいぬやはとをちゅうちょなくぽけっとに入れたり、ぼうしに入れたりするのを憧れいっぱい見ていましたが、おおかみの登場のあたりから、ハラハラドキドキの様子が伝わってきました。

とても楽しんだ一冊です。
我が家の子どもが月刊で持ち帰り何回も楽しんだ懐かしい思い出がありますが、今はもう手に入りません。

ピエールとライオン

2023年03月28日

次は1月の終わり 4歳のクラス、うめぐみのとしょかんの一冊です。

ピエールとライオン
ためになるおはなし
はじまりのうた
といつつのまき

pierreandlion

モーリス・センダック さく
じんぐうてるお やく
1986年8月11日 第1刷
1991年3月19日 第3剃
冨山房刊

ピエールは優しいお母さんお父さんに育てられているけれど、何をいっても
”ぼく しらない”を連発するヘソ曲がりの男の子。
両親に「まちへいこう」と誘われても「ぼくしらない」とひとりで留守番。

ある日、はらぺこらいおんやってきて「しにたいかね」と聞くと
ピエールは即刻
「ぼくしらない」
「くわれちまうってしってるだろ?」
「おれのおなかにはいっちゃうんだぞ。」
ところがピエール「ぼくしらない」と言うばかり。

らいおんは「ごちそうさま」とピエールをたべちゃった。
家に戻った両親が見たのは・・・ベッドに横たわるライオン・・・。
医者がライオンを逆さにしてふるや、ピエールはどしんと床におち、にっこり笑う。
「わたしにおのりください・・・」
というライオンの誘いには
「はい。わかりました。のりまーす!」
と終ります。

「かいじゅうたちのいるところ」「まよなかのだいどころ」で作者センダックの世界の醍醐味を既に味わっているうめぐみさんですが、この少し小さな絵本は4冊セットになっていて、どれも又々個性的で楽しいのです。出会った翌週も一番に要求があり、笑いころげて楽しんだ一冊です。

シーフカ・ブールカまほうの馬

2022年12月27日

最後は11月の後半、5歳のクラスうみぐみさんと楽しんだロシアの昔話です。

シーフカ・ブールカまほうの馬

mahounouma

M・ブラートフ再話 松谷さやか 訳
B・デュオードロフ 絵
1997年9月20日 福音館書店刊

昔あるおじいさんには3人の息子がいて末息子は ”イワンのばか” とよばれていましたが、ある日おじいさんの麦畑が喰い荒らされ、夜、息子たちが順番に見張りにつくのですが、何と!!賊を見事に捕らえたのは末息子イワンだったのです。

イワンが捕えたのは毛並は金と銀、耳から煙を立ちのぼらせ、鼻から炎を吹き出すまほうの馬でした。

馬は ”逃してくれれば何でもします” と訴え、
「用事があれば三度口笛吹いてシーフカブールカまほうの馬よさあかけてこい!!って呼ぶように」
と伝えます。

その後、国中に
「たかい塔のまどべに座っているエレーナ姫の指から指輪を抜きとったものは姫の婿に選ばれるであろう」
というおふれが出ます。

イワンは魔法の馬に頼んで挑戦し、三度目に成功にこぎつけます。

家族からバカ呼ばわりされ続けるイワンですが、最後、姫が見事イワンの持っている指輪を見つけ、めでたく結婚のお祝いとなります。
めでたしめでたし。

ロシアの昔話の中で「魔法の馬」として必ず登場するお話です。
美しいお姫さまも登場したり、何とも猛々しい魔法の馬が登場したりでうみぐみさんもこんな話って・・・と今まで出会ったことのないお話を目を白黒させながら聞き入り楽しんでいました。

今、この絵本は手に入りませんが、「ロシアの昔話」という昔話集の中には必ずや登場するお話なので一度出会ってみて下さい。特におすすめは、「ロシアの昔話」内田莉莎子編 訳・タチヤーナ・マブリナ画 福音館書店刊です。
まだまだご紹介したい本はたくさんありますが、次の機会に・・・。

どのクラスの子どもたちもことばが大好きで毎日魅力のある美味しいことばをむさぼるように耳から食べての生活です。言葉の豊かさは心の豊かさにつながると信じます。

おやすみなさいフランシス

2022年12月27日

次は11月遠足のあとの4歳のクラスうめぐみさんのとしょかんの一冊。

おやすみなさいフランシス

oyasuminasai

ラッセル・ホーバン ぶん
ガースウィリアムズ え
まつおかきょうこ やく
1966年7月初版 福音館書店刊

夜7時、あなぐまのフランシスは両親に「もうねるじかん」と言われますが、ねむくないフランシスは
”ミルクがほしい”
・・・に始りあれこれおねだりします。
でもねむれないフランシスは自作のうたをうたいます。

「あはアップルパイ、いはいたち、うはうみへびよ、あたまにリボンをつけている。・・・」
とはとらだぞ・・・とらの出現から近くにとらがいる・・・おおおとこがいる、天井にあなが・・・と訴えに来るフランシスの気持ちを両親は冷静に聞き、それはね・・・と話し安心させます。

それでもいっこうにねむくならないフランシスにおとうさんは何故ねむらなくてはならないかを話します。

みなそれぞれの仕事があり、それを怠ると、失業する。おまえがいま寝にいかなかったら・・・・
「あたしもしつぎょうする?」
「いいや」
「おしりぶたれる?」
「そのとおり」
この会話の後、フランシスは気になることがあっても少し考え、自分で自分を納得させ、深い眠りに入ります。

うめぐみさんは丁度等身大の話に最初からとても楽しんでいて、フランシスのうたのあたりから大笑い。最後、おしりぶたれる?の会話も爆笑でした。とても楽しんだ一冊です。

他社からですが「フランシスのおたんじょうび」「ジャムつきパンとフランシス」「フランシスのいえで」「フランシスのおともだち」等出ていますので楽しんでみて下さい。

てぶくろ

2022年12月27日

次は11月の3歳のクラスつきぐみのとしょかんでの一冊。

ウクライナ民話
てぶくろ

tebukuro

エウゲーニー・M・ラチョフ え
うちだりさこ やく
1966年11月刊 1976年1月第28刷 福音館書店刊

あたり一面の雪の中、おじいさんが森を歩いていて、てぶくろを片方落していってしまうと、そこへねずみがやってきて
「ここでくらすことにするわ」
と入り、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ、いのしし、最後はくままでやってきては
”わたしもいれて”
ぼくも、おれもと次から次へと入り込み、今にもはじけんばかりになったとき、おじいさんがてぶくろをさがしに戻ってくるのですが、てぶくろはむくむく動いていて子犬が吠えた途端みんなてぶくろからあちらこちらへ逃げだし、おじいさんは無事てぶくろを拾います。

次々登場する動物はそれぞれ民族衣装を身につけ交わす会話の面白さと、てぶくろの家をかさあげしたり、梯子をつけたり、中が賑やかになる度にとても凝った住処となっていくのが面白く、つきぐみさんは次から次へと登場する動物たちに
”えーっまた!!”
”もういっぱいだよ”
”はいれないよね”
等とつぶやく声が聞こえてきて、とても楽しみました。

とんだトロップ

2022年12月27日

11月の5歳のクラス、うみぐみのとしょかんの一冊

とんだトロップ

tondatorop

小野かおる 文・絵 1998年6月25日 福音館書店刊

極寒の小さな村に住む男の子トロップは父さん母さん兄さんと暮していて、何でも得意な兄さんに憧れていました。

夏祭りのジャンプ競争の一等の商品・・・ししゅうのついたきれいなくつをみた子どもたちは皆、ジャンプの練習に励みはじめました。

ところがトロップは兄さんのように高くとべず、練習を繰り返します。

それを見た大男の兄弟のまほうつかいが
”ちょっとおしえてやろうかな”
といって姿を見せず
”もっとひざをまげて、かおをうえにむけて”
と声をかけ始めました。

驚いたトロップでしたが、いわれるとおりにとんでいるうちに高くとべるようになると、まほうつかいはジャンプのおまじないを教えてくれます。
”ぎゅっとてをにぎって、とぶときにフレップトリップホーイホイ、ピルカンタラリンホイといってごらん。”

ところが競争当日、トロップはおまじないを間違えてしまい、木のてっぺんどころかあがったまま暗くなった頃、降りてきてごぼうびのくつをもらいました。

うみぐみさんはトロップがおまじないを間違えてしまい、どうなることか・・・ととても不安な表情でしたが、戻ってきた瞬間ほっとした様子で最後おもしろかったー!!といってとしょかんを後にしました。

ひがんばな

2022年12月26日

次は9月の4歳のクラスうめぐみさんのとしょかんの一冊。

ひがんばな

higanbana

甲斐信枝 さく 1977年9月 かがくのとも102号

9月お彼岸近くから園庭のあちら、こちらで咲き始めていた
「ひがんばな」。
子どもたちは手にとってみたくなっていたことでしょう。
そして
”ひがんばなってね、どくがあるんだって”
という話は拡がっていました。
そんなある日の一冊です。

この花にはたくさんの名前があります。
<まんじゅしゃげ><きつねのかんざし><はなぢょうちん><ちんちんどうろう>
球根からにょきにょきって葉っぱも出さず、茎をのばしいきなり花をさかせます。
何故葉っぱも出さず、季節になるとにょきにょき伸びて花を咲かせるのか?
不思議に思っていましたが、とても特殊な植物で花が終った後、すぐに葉っぱを出して球根に送り、次の開花に備え、緑の葉は冬を越し、春まで養分を球根にため込むのだそうです。

「ひがんばなのきゅうこんはどくをもっていて、なめるとぴりっと舌がしびれます。」と読むと、
”やっぱりな、どくがあるってきいたもん”
と皆納得でした。

この絵本の作者、甲斐信枝さんは
「・・・秋、地上に忽然とあらわれ、たちまちあたりを真赤に染めるこの花の独特の美しさ、形のすばらしさは幼い私の心をとらえて離しませんでした。・・・」
とこの絵本に寄せて書かれています。

クリスマスのふしぎなはこ

2022年12月26日

クリスマスのふしぎなはこ

fushiginahako

長谷川摂子 ぶん 斎藤俊行 え
2001年12月1日 こどものとも年少版刊

もうすぐクリスマス。
小さな男の子が床下で見つけた木製の小箱。
何だろう?開けてみると・・・
何とサンタさんがベッドで寝てる!!
箱はぼくだけの秘密。

サンタさんのいまを確かめるため、内緒でそっとはこをあける。
サンタさんは今出発するところ。
”もりのなかをちょうとっきゅうではしってる。”
”まちのうえをとんでる。ぼくのしらないまちだ”

「あのこはねたか このこはねたか ねたこのうちからくばろうかってサンタさんはうたってあるくのよ。さあ、はやくねましょ」
・・・のお母さんのひと言。

こっそり箱のふたをあけると・・・
”あっぼくのまちだ!!”
リンリンリンリン

この季節、どのこも今年のサンタクロースへの期待感でいっぱい。
絵本をよんだ後、ぼくはね・・・わたしね・・・贈物の話で何と賑やかだったことでしょう。子どもたちの大好きな一冊です。

ふゆのむし

2022年12月26日

5歳のクラス、うみぐみの11月のとしょかんでの一冊。

ふゆのむし

huyunomushi

藤井 醇 ぶん 三芳 悌吉 え
福音館書店刊かがくのとも9号 1969年 12月刊

八月の終り、こういちは雑木林で見つけたくわがたを<でか>と名付け大切に飼っていましたが、秋の終り、飼育ケースのフタをし忘れ、デカは姿を消しました。

家の中や庭にも見つかりませんでした。

冬となり<でか>を見つけた雑木林に行くと、そこにはみどりや金色に光る虫、キリギリス、かまきりの卵、たくさんのてんとう虫等がいて、こういちは楽しんで、雑木林に通っていましたが、ある日、切株の皮の間に黒いものが動いていて胸をどきどきさせながらめくると・・・とびあがりました。

あの『でか』がこういちをぐっとにらんでいたのです。

虫好き、虫博士のたくさんいるうみぐみさんですから、ページをめくる度に
”あっハサミムシ”
”エンマコオロギ”
”ミイデラゴミムシ”
”キリギリス”
等、あちらこちらからたくさんの虫の名前がとび交い、賑やかこの上なく楽しんだ一冊でした。

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