常盤平幼稚園

今日の一冊

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子どもたちと絵本

この園の子どもたちの生活は、絵本なくしては始まりません。
朝、みんなが集まれば絵本。帰りのさようならの前に絵本。
そして、週に1回、クラスごとに入る図書館では、 図書館の専任が、その季節や、クラスの子どもたちに合わせて、 今、出会わせたい絵本を選んで、子どもたちに読んでいます。

1日に2冊以上、1週間で10冊以上、1か月で平均50冊、1年にしたら、何百冊・・・
卒業までの3年だと・・・。
もちろん、読んだ本の数ではありません。
ただ、子どもたちは、幼稚園の3年間の生活の中で、 こんなにもたくさんの絵本に出会っているのです。
その、毎日の積み重ねの大きさを感じて頂ければ。

このブログでは、そんな日々の子どもたちと絵本との関わり、 様子、楽しんでいる絵本など、ご紹介していきます。

ようかいさんはどこ?

2020年11月26日

5才のクラス うみぐみさんと2学期最初の一冊。youkaisanhadoko
沼野正子さく
かがくのとも437号2005年8月 福音館書店刊

最近妖怪にはまっているという うみぐみのMちゃんの話を聞いて選んだ一冊です。

夏休み、大祖父ちゃんの家に泊りにきたアーちゃんとヨーくんは ” ごはんがおいしい ” と言うと、おおばあちゃんに ” それはコメトギババのおかげ ” と言われ、会ってみたさに翌朝妖怪探検に出発します。地面をベトベト這うベトベトさんやスナカケババの歓迎に会った後、川の方から

おこめとぎゃしょか
ひと とって くいやしょか
ショキショキ
ショキショキ〜〜

といううたが
ショキショキという音といっしょに聞こえてきました。コメトギババです。

「このうたのようにショキショキとおこめをとぐとごはんがおいしくたけるんだよ」とおおばあちゃんはたのしそう。

その後もヤカンヅルやコナキジジイ、ヌリカベ、ワタリビシャク….とたくさんの妖怪に会ったその夜、「こんばんは・・・」と二人の枕元に現れたのはザシキボッコ。

「ずっとずっとむかしからこのうちのまもりがみなのさ こわいことはちっともないよ」の一言で二人は安心して眠りにつきます。

読んでいる間中、いろんな方が ” あのさぁ〜 ○○○○っていうようかいはさぁ…. ”
と次から次へと妖怪紹介が始まり、何と賑やかだったことでしょう。

” むかしからようかいはひとのくらしのなかにあらわれたといいます。
みみをすませ、めをこらせばあなたもようかいにであえるかもしれません ”

とべバッタ

2020年11月16日

4才ののクラス うめぐみさんの9月最初のとしょかんでの一冊
tobebatta
田島征三さく 1988年7月偕成社刊

ちいさなしげみのなかにバッタがいっぴき、かくれすんでいた。周りに住む恐ろしいものたちはバッタをたべてしまおうとねらっていた。

毎日びくびくおびえ暮らすのがつくづくいやになったバッタはある日決意する。

大きな石の上で悠々とひながぼっこをするや、たちまちヘビ、カマキリにおそいかかられるが… 何と!!バッタはヘビをへこましカマキリをばらばらにしクモもクモの巣ごとめちゃめちゃにして空高く飛び雲をひきやぶり登りつめた。が… あとは落ちるのみ。

その時初めてバッタは自分の背中にある4枚の羽に気付き、あわや…の瞬間浮き上がり、たかく、たかく行きたい方へ飛んでいった。

この絵本の表紙を見た瞬間から虫好きななかまがいっぱいのうめぐみさんは大興奮。虫の世界を知っているからこそのバッタの決意や勇猛果敢に戦うバッタに全身全霊をかけて応援したに違いありません。

田島征三さんの力強い迫力いっぱいの大きな画面に吸い込まれるよう聴き入り楽しんだ一冊でした。

くろねこかあさん

2020年10月31日

2学期、初めての3才のクラスのつきぐみさんのとしょかんで。

kuronekokasan

東君平さく
1985年2月
年少版 こどものとも 福音館書店刊

くろねこかあさん あかちゃんうむよ
どんなあかちゃん うまれるのかな
どんななきごえしてなくのかな

つきぐみのなかまは黒猫かあさんの大きなお腹を見ながら、想像をめぐらします。
くろねこかあさん あかちゃんうんだ
しろねこさんびき おちちをのんだ
くろねこさんびき あそんでばかり
歯切れのいいリズミカルなことばを聞きながら、つきぐみさんに黒猫かあさんがおちちをのませたり、やさしくなめたり、つめとぎしたり、柱に登ったり、肴をねらったり、鯉つかまえたり…と子育てに奮闘する様を笑声を立てながら満足感いっぱい楽しみました。

くろねこかあさん やさしいかあさん
しろねこさんびき すくすくそだつ
くろねこさんびき すくすくそだつ

是非出会って、いっしょに楽しんでみてください。

ものぐさトミー

2020年10月26日

子どもたちを笑いこけさせる一冊

monogusatommyペーン・デュポア  文  絵
松岡享子 訳
1977年6月24日初版 岩波書店刊

電気じかけの家に住むトミー ナマケンボは、朝起きるのも、お風呂から着衣、洗面、食事、全て自動装置に身を置くだけで自動的に済んでしまうのです。

それだけでくたびれるトミーの家はある日、嵐のため電線が切れてしまいます。
7日後電気は戻りますが、水は冷たいまま。水風呂にとび込んだトミーは慌てたばかりに風呂おけが傾き、トミーは逆さになったまま電気歯ブラシや電気ぐしに足の裏をごしごしこすられくすぐったくてわらい死にそうになります。
この様子にうみさん大爆笑。笑、笑いが止まりません。
逆さになったまま、頭からパンツ、ズボン、くつした、くつの中につっこみ、足の裏に降ってくる食事をトミーはキイキイわめきながらけちらす有様です。

床一面に積もった朝ごはんの中に座ったトミーは大きな声で「いったいどうしてまたこんなめちゃくちゃなことになっちゃったんだろう?」と自問し、「よし、いまからすっかりこころをいれかえて、ぼくのくらしにあたらしいページをひらくんだ。さもないと、ほんとにもうおしまいだ。」

この絵本を見つけると必ずや ” これよんで ” という程、人気の絵本です。ぜひ出会ってみて下さい。

ちのはなし

2020年10月22日

うみさんと今学期2回目のとしょかんで

chonohanashiぶんとえ 堀内誠一
1972年3月 福音館書店刊

「これ よんで!」と子どもたちが選んだ一冊です。かがくのともで出版されているからだに関係する本。” おへそのひみつ ” ” おっぱいのひみつ ” などなど。子どもたちはとても好きです。

さて、転んで膝こぞうから出た血。” ちをなめてみたらしおからい ” とよむとすぐに ” ぼくもころんでちがでた ” ” わたしも ” と体験者がたくさん名乗り出ました。

身体の全体を走る血管の絵、そして心臓の話、顕微鏡でみる血の中の赤血球、白血球、血しょうばんの形と役割、又小さな動物、赤ちゃん、子ども、そして大人 それぞれの血の量、など、堀内さんのイラストはわかりやすく且つ魅力があります。
ちは生物にとってとても大切、ということを楽しみながらわかってしまう…. そんなかがくのともは素晴らしい!!

あめのひ

2020年10月13日

うみさんとよんだ本を紹介します。6月の雨の日に出会った一冊。
amenohi
ユリー・シュルヴィッツ 作・画
矢川澄子 訳
1972年9月福音館書店刊

屋根裏部屋のベッドの上で雨の音を聞く少女と猫。
” まどにぴしゃぴしゃ ” ” やねにばらばら ”
雨は街をすっぽり包み ざあざああふれて どぶをはしる。
はるかに連なる山々に降る雨 丘にも草にも池にも降り 蛙が大はしゃぎしている
みずはちょろちょろ ながれになって やまをくだって かわからかわへ よりあつまって しまいにうみへ….. と詩文を読んだ瞬間 ” へぇー そういうこと? ” という言葉が子どもたちの中から聞こえてきました。雨の風車は又町へと戻り 最後は屋根裏部屋の少女と窓辺に寝そべる猫とせのびしかけている植木鉢の花の場面で終わります。雨の風情、情緒を詩情豊かに語る絵本です。
今回うみさんととてもしっとり楽しめました。

三びきのやぎのがらがらどん

2020年10月06日

うめぐみさんの今学期2回目のとしょかんで大興奮でよんだ一冊。

sanbikinogaragaradonアスビョルンセンとモーの北欧民話
マーシャ・ブラウン え
せた ていじ やく
1965年7月 福音館書店刊

舞台は北欧ノルウェーの山の中、山の草場で太ろうと大きいやぎ、中くらいのやぎ、小さいやぎのがらがらどんが橋をわたりにやってくるのですが、橋の下には大きなきみの悪いトロルが住んでいるのです。

はじめに小さいやぎが、かたこと かたこと と小さな音で橋を渡るや、いきなり「だれだ おれのはしを かたことさせるのは」とトロルにどらられ、小さいやぎは「なに、ぼくですよ いちばんちびやぎのがらがらどんです」と言い ” ひとのみに… ” というがらがらどんに「すこしまてば二ばんめのやぎがやってきます。ぼくよりずっと大きいですよ」とその場をなんとか切り抜けるのです。

さて二ばんめのやぎは ” がたごと がたごと ” と橋をならしてやってきて「だれだ…」とどなるトロルに「ぼくは二ばんめのやぎのがらがらどん」と名乗り「ようし、きさまをひとのみに…」というトロルに「おっとたべないでおくれよ、これからやってくるやぎはぼくよりずうっとおおきいよ」と難を逃れるのですが、その時やってきたのは大きいやぎのがらがらどん ” がたんごとん がたんごとん ” とやってきて「おれだ!おおきいやぎのがらがらどんだ!」とがらがらごえで叫ぶのです。
この場面に来ると子どもたちは大きいやぎのがらがらどんに憧れいっぱいの眼差しを向けます。” かっこいいなー ” と言わんばかりです。

大きいやぎはトロルをこっぱみじんにして谷川へつき落とし、三びきは山へと登っていきます。3才で初めてよんだ時はこわごわだった方も今は余裕どころか、身を乗り出し ” やったあ ” と大興奮です。強くなりたいというう思いをもっている男の方には特に人気があります。

何度も出会って欲しいほんの一冊です。

こすずめのぼうけん

2020年09月26日

kosuzumenobouken
ルース・エインワース さく
堀内誠一 絵
1976年4月 福音館書店

木づたのつるの中に住むおかあさんすずめはある日 こすずめに飛び方を教えます。
お母さんの教え通りに飛び立ったこすずめは見事、空中に飛び、自信満々に飛ぶうちに疲れた羽を休ませる場所が欲しくてさがします。

にれの木のだらしない巣、ひいらぎのてっぺん近くの巣、かしの木のうろ、池のほとりのあしや草の巣、
どれもこれもこすずめは遠慮がちに
あの すみませんがなかへ入ってやすませていただいていいでしょうか?と訪ねますが、
” おまえ かあ かあっていえるかね? ”
” ほうほう ほうほうっていえるかね? ” 等聞かれ、
その度に ” いえ、ぼく、ちゅんちゅんちゅんってきりいえないんです ” と答えるこすずめは、
なかまじゃないから….と断られてしまうのです。
読み進む間に心中こすずめになりきっているうめのなかまから、
” えーっ かわいそう ” ” わたしなら入れてやるわ! ” 等、
同情のことばがしきりと耳に入ってきます。

やっとお母さんすずめにめぐり会えた瞬間、” よかった ” の声が聞こえてきました。
お母さんを安堵させたことでしょう。
石井桃子さんの訳文、堀内さんの絵の素晴らしさが心に刻まれます。

かくれんぼ

2020年09月26日

kakurenbo
スズキコージ作
1999年12月
こどものとも年少版 273号

” かくれんぼするものよっといで ”
クンちゃん、カンちゃん、ポンちゃん、カボちゃん、レンちゃん
あちらこちらの路地裏から出てくる出てくる 子どもたち、

” じゃん けん ぽん ”
” わーい チョキかった ”
” カボちゃんおにだ ”
かぼちゃんがかぞえます
” いち にぃ さん しぃ ”
” ごう ろく しち はち ”
” くう じゅう! ”
” もう いいかい? ”
” まあだだよ ”

ふんすいから、木桶の中から、ひともどうぶつも建物も車も、何から何まで登場する個性あふれるコージワールド。

うめさんは目を皿のようにして必死に探します。オニのカボちゃんはしっかり見つけます。
最後にあれ?ボンちゃんどこだ?
あれ? 乳母車ひくおばあさんの足が4ほん・・・?
” あっ ボンちゃんみっけ! ”

子どもたちはかくれんぼが大好き、毎日どこかのクラスでやってます。
一年中愛される絵本です。

とべ かぶとむし

2020年09月07日

tobetobekabutomushi
得田 之久 さく
1977年8月 こどものとも年少版

表紙いっぱいに ” ドーン ” と昆虫の王者かぶとむしが登場していれば、虫好きの方なら手に取らずにはいられません。
つきぐみのK君も大の虫好き。書架に並ぶ昆虫絵本をすばやく見つけ、” これよんで ” と持ってきてくれました。
さて先ず登場したのは見開きいっぱいの大きなくぬぎの木から ” ぐっ ” と出てきた大きな角。
” かぶとむしだ ” ゆっくりと枝を登るかぶとむし。
折れた枯枝を乗り越えるとそこに蜜をなめているかなぶんとすずめばちが….。
かぶとむしをみるや逃げ出した。かぶとむしは枝の先まで登りつめるや羽を思いっきり拡げとび立った。
” とべかぶとむし ”
K君はじめ、虫の大好きな子どもたちは、ただ憧れいっぱいの眼差しでこの勇者を見ていて、大満足で終わりました。

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